××× ラブ ×××
「ね〜跡部。“愛”って何?」
「・・・は?」
いきなりの質問はいつものこと。
突飛な質問なのもいつものこと。
その質問を聞いて頭が痛くなるのも…いつものこと。
跡部は、我ながら美味しくはいったと思う紅茶を片手に、
千石の、何度目かわからない質問を聞いた。
“愛”とは何だ?そんなの自分で考えやがれ。
「俺の君に対しての“想い”って、“愛”なのかな〜?」
自分の胸元を掴んで上を向き、わかんなくなっちゃったと千石は言う。
その表情からは何もつかめない。
それは・・・
「…それは、俺に飽きたってことか?」
ガバッと、千石は驚いた顔をして跡部に目線を移す。
その表情は、何を言ってるんだと。何故そうなると、おもむろに言っているようで。
それは突飛な千石の質問に呆れてもれたのか、千石の表情を見てとった安心からもれたのか。
跡部は一つため息をもらす。
「俺への想いがわかんなくなったんだろ?
それって、好きか嫌いかわからないってことじゃねぇのかよ?」
「違うよ!!」
心外だと怒っているのか、少し千石の顔が赤い。
それじゃ何なんだ、と問いかけの表情を浮かべ、跡部は千石を見る。
その視線に気づいたのか、千石はまた考える表情を浮かべながら口を開いた。
「跡部への想い、今までは“好き”で表せたんだ。
でも、自分の中でそれじゃ違うって思えてきて。」
「違う?」
自分でもよくわからないのだと、千石は言う。
いくらインサイトができる跡部でも、千石の中で確立されていない“想い”をみることはできない。
千石は、考えながら考えながら、言葉を紡ぐ。
「何て言うんだろう…“好き”じゃ足りない気がするんだよね〜。
“好き”っていうのが、どの範囲をカバーする想いの強さなのかはわかんないけど、
“好き”じゃ足りない気がするんだ。どうしても。
ということは〜だ、俺は跡部を“愛”してるのかな〜って。」
「お前がそう思うのなら、そうなんじゃねぇの?」
跡部は紅茶に口を付けながら、千石の言葉をさらりと流す。
千石は跡部のその態度に口をとがらす。
“愛”が感じられない、と。
跡部は笑う。
「お前、わかってんじゃね〜の?“愛”っての。」
「え?」
ふいに跡部と目があった。その瞳は・・・
「あ、そうか。うん。わかった。」
「そうかよ。」
“愛”って、どうしようもなく“好き”なコトなのかもしれない。
ううん。“好き”があふれたら、あふれすぎたら“愛”でいいのかもしれない。
ううん。きっともっと違う。どうしようもなくてわからないモノが“愛”?
「どうして、人から向けられる“愛”はわかるのに、自分の中の“愛”ってわかんないんだろ?」
「相手がいてこその“愛”なんだろ。
それに・・・」
“愛”は形や言葉で表せるようなものじゃない。
「そうだね。そうかもしれない。
でもね、俺は言うよ。君に伝えたいんだ。
もう“好き”じゃ足りないから・・・」
千石が跡部に近づく。
跡部の瞳を見つめたまま、千石は跡部に近づく。
“愛”のあふれる、その瞳を見つめたまま。
そして・・・
「「愛してる」」
二人の声が重なった。
××× END ×××
12222Hit自爆記念フリーノベル☆(爆死)
しかも日記に書いた突発小説だしね。
こんなんでも欲しいという優しいお方は、是非お持ち帰り下さいv
更新の非常に遅いサイトですが、これからもどうぞ宜しくお願い致します。
陽炎あさと
<2005.6.27>